SESのブラック企業の見分け方【現役SES社長が正直に解説】
SESで働くエンジニアから、こんな声をよく聞きます。
「今の会社、ブラックなんじゃないかと思っている」 「転職先を探しているけど、また同じような会社に入りたくない」
SES業界には確かに問題のある会社が存在します。私自身、長年この業界にいて、他社のひどい実態を目の当たりにしてきました。
この記事では、現役のSES会社の社長として、ブラックなSES企業の特徴と、良い会社の見分け方を正直にお伝えします。
SESのブラック企業に共通する4つの特徴
1. 経歴詐称をさせる
これはSES業界で実際に横行している問題です。
私が以前関わっていた案件で、こんなことがありました。ある会社の社員が「PHPを3年やっていました」という経歴で客先に入ってきた。ところが実態は、未経験で3ヶ月の社内研修を受けただけ。現場では当然、まともに仕事ができず、周囲のエンジニアに多大な迷惑をかけていました。
これは客先に対する詐欺行為です。同時に、そのエンジニア自身にとっても残酷な話です。できないのに「できる」という前提で送り込まれ、現場で苦しむ。
こういうことを平然とやる会社は、エンジニアを「人」ではなく「コマ」として扱っている。そういう会社に長くいても、スキルは身につかないし、自信もなくなります。
2. 給与が単価に見合わない
SESの給与の仕組みを知っていますか。
エンジニアは客先に「単価」という形で請求されています。たとえば月単価80万円のエンジニアがいるとして、会社がエンジニアに支払う給与がいくらなのか。これが会社によって大きく違います。
私自身が経験したケースで、月単価108万円のポジションに入っているエンジニアの給与が25万円だったことがあります。差額は83万円。これが会社の取り分です。
「会社も営業コストや社会保険を負担しているから、ある程度の差額は仕方ない」という意見もあります。それは正しい。でも83万円の差額は、どう考えても取りすぎです。
業界全体で見ると、単価の30〜40%しかエンジニアに還元されていないケースも珍しくありません。還元率の仕組みについては「SESエンジニアの年収はいくら?還元率で手取りが変わる仕組みを解説」で詳しく説明しています。
問題は、多くのエンジニアが自分の単価を知らないことです。単価を教えない会社は、その差額を隠したいからです。
AtomBaseでは、単価の65%をそのまま給与として支払っています。単価も隠しません。これが業界の中でどれだけ高水準かは、他社と比べれば一目瞭然です。
3. サポートがない
「案件に入れたら終わり」という会社が存在します。
何かトラブルが起きても、スキルで困っても、相談できる人がいない。会社に連絡しても営業担当者がなかなかつかまらない。次の案件の話が突然降ってくる。
SESは客先常駐という働き方の性質上、会社との物理的な距離が遠くなりがちです。だからこそ、サポート体制がきちんとしているかどうかが重要です。
入社前に確認すべきこととして、「何か困ったときはどうすればいいですか」「定期的な面談はありますか」と聞いてみてください。具体的に答えられない会社は要注意です。
4. エンジニアに裁量がない
「次の案件はここに決まりました」と一方的に通達される。
行き先を選ぶ権利がない。「断ったら評価が下がる」という空気がある。自分のキャリアを自分でコントロールできない。
これがSESで働くエンジニアの多くが感じている不満の一つです。「「SESはガチャ」だと言われる。でも、それは”運”のせいではなく”構造”のせいではないか?」でも、この構造的な問題を掘り下げています。
案件を選べない会社では、自分が得意でも好きでもない技術の案件に放り込まれることになります。スキルが偏り、市場価値が上がらない。結果として、エンジニアとしての将来が狭まっていきます。
良いSES企業の見分け方
ブラックな特徴の裏返しでもありますが、「ここなら安心できる」と判断できる基準をお伝えします。
経営者がエンジニア出身であること
これは見落とされがちですが、非常に重要なポイントです。
エンジニアを管理する側の人間が、エンジニアとして働いた経験を持っていない会社は、エンジニアの気持ちがわかりません。「なぜ技術的な負債が問題になるのか」「スキルアップにどれだけ時間が必要か」「案件のミスマッチがいかに消耗するか」。経験していない人には、感覚としてわかりません。
私自身、現在も現役でエンジニアとして稼働しています。ポイント系システムのPMとして、実際にプロジェクトに入っています。だからこそ、エンジニアが何を嫌がるか、何を大切にしているかが身をもってわかります。
採用面談の場でも、経営者や担当者に「技術的な経験はありますか」と聞いてみてください。
還元率を明示していること
単価の何%を給与として支払っているか、明確に公開しているかどうかは重要な指標です。
透明性がある会社は、隠したいものがない会社です。逆に「うちは頑張りに応じて給与を決めています」と曖昧な答えをする会社は、透明性を持てない理由がある可能性があります。
AtomBaseでは、単価の65%をそのまま給与として支払っています。月単価80万円なら給与は52万円。この計算をシンプルに提示できます。
案件を自分で選べること
「どこに行かされるかわからない」という状況をなくすためにも、案件の選択権がエンジニア側にあるかを確認してください。
良い会社は、案件情報を事前に開示します。業務内容・単価・勤務場所・面談回数まで、決まる前の段階で共有する。その上でエンジニアが「やります」「ちょっと違います」を判断できる。
入社前の面談で「案件はどうやって決まりますか」と具体的な流れを聞いてみてください。
エンジニアファースト(社員ファースト)を仕組みで体現しているか
「エンジニアを大切にしています」という言葉は、どの会社も言います。大切なのは、それを言葉ではなく仕組みで実現しているかどうかです。
還元率・案件選択制・待機中の扱い・サポート体制。これらが具体的な形になっているかを確認してください。「エンジニアファーストです」と言いながら、具体的な制度が何もない会社は、言葉だけです。
まとめ:転職前に確認すべきチェックリスト
良いSES企業を見分けるために、面談前後に確認しておくべき項目をまとめます。
給与・待遇
- 単価の何%が給与になるか、明示してもらえるか
- 待機中(案件がない期間)の給与はどうなるか
案件・キャリア
- 案件はどのように決まるか。自分で選ぶ余地はあるか
- 希望するスキルや職種を考慮してもらえるか
会社・体制
- 経営者や幹部にエンジニア経験者はいるか
- 困ったときの相談窓口はあるか。担当者は誰か
透明性
- 自分の単価を教えてもらえるか
- 会社がどれだけマージンを取っているか説明があるか
これらを面談でそのまま聞いて、きちんと答えてもらえない会社は、入社後も同じ態度です。
SES業界には確かに問題のある会社が存在します。ただ、全部がそうではない。良い会社を見つけるために、入社前にしっかり確認することが大切です。
AtomBaseに興味をお持ちの方は、まずカジュアルに話しましょう。採用面談ではなく、ただの情報交換でも構いません。